大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和27(あ)1225 判決

主 文

原判決及び第一審判決中被告人に関する有罪の部分を破棄する。

被告人を懲役一年に処する。

但しこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

押収中の福岡県印(証第四号)山下印(証第五号)小売業者購入割当証

明書十枚(証第二十二号)はいずれも之を没収する。

第一審における訴訟費用中証人A、同B、同C、同Dに支給した分を除

くその余は被告人の負担とする。

本件公訴事実中昭和二二年政令第一六五号違反の事実については被告人

を免訴する。

理 由

弁護人松永初平の上告趣意について。

第一審判決原本には裁判長裁判官中野乕雄、裁判官橋本清次、裁判官宮脇辰雄の

各署名押印がある。そして、第一審第八回公判調書及び同第九回公判調書の各記載

によれば、右各裁判官は右判決の基本となつた第八回公判及び第九回公判の各審理

に関与した裁判官であること明らかであつて、記録に徴するも、右各公判調書の記

載の正確性について、異議の申立のなされた形跡が存しない。従つて、第一審判決

には、その公判の審理に関与しなかつた裁判官が判決に関与した違法がないこと、

原判決の説示するとおりである。所論憲法違反の主張はその前提を欠き採用できな

い。

しかし、職権を以て調査すると、本件公訴事実中昭和二二年政令第一六五号違反

の事実については、昭和二七年政令第一一七号第一条第八三号、第一一七号により

大赦があつたので、刑訴四一一条五号四一三条但書四一四条四〇四条三三七条三号

により原判決及び第一審判決中被告人に関する有罪部分を破棄し、被告人に対し右

- 1 -

公訴事実について免訴の言渡をなすべきものとする。

よつて、右大赦にかからない事実(公文書偽造の事実)を法律に照すと、被告人

の各所為は刑法一五五条一項六〇条四五条前段にあたるから、同法四七条一〇条に

より併合罪の加重をなし、その所定刑期範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状刑

の執行を猶予するを相当と認め刑法二五条を適用し、この裁判確定の日から二年間

右刑の執行を猶予し、主文第四項掲記の物件については同一九条を適用し、いずれ

もこれを没収し、訴訟費用については刑訴一八一条を適用し主文第五項掲記の通り

負担させる。

この判決は、全裁判官一致の意見である。

公判出席検察官 福原忠男。

昭和二八年四月一七日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!